不動産売却・住み替え

売却が先?購入が先?住み替えで後悔しないタイミングの決め方

「今の家、そろそろ手狭かも……」

そうつぶやいたのは、小学生の長女と年少さんの長男を育てる、アヤさん(30代)。夫さん(40代)と2人の子どもたちと暮らす築20年超のマンションで、収納の少なさとリビングの狭さに、最近ずっとモヤモヤを抱えていました。

「戸建てに住み替えたい気持ちはあるけど、今の家を売るのが先?それとも次の家を探すのが先?

そんな疑問を抱えたアヤさんが向かったのは、リノベ部のコウカイ鳥のもとでした。

あちこちの家庭を取材して回っているコウカイ鳥は、住み替えを経験した家族の話をたくさん聞いています。

今回はそんなコウカイ鳥に、アヤさんが素朴な疑問をぶつけていく形で、住み替えの「順番」について整理していきます。

1. そもそも「売り先行」「買い先行」って何?

「コウカイ鳥さん、住み替えを調べると『売り先行』『買い先行』って言葉がよく出てくるんですけど、そもそもどう違うんですか?」

「いい質問だね。整理すると、こういうことなんだ」

  • 売り先行:今の家を先に売却してから、新居を探して購入する進め方
  • 買い先行:新居を先に購入(契約)してから、今の家を売却する進め方

「売り先行は、売却額が先に確定するから資金計画が立てやすいのが強み。買い先行は、理想の物件が出たタイミングを逃しにくいのが強みなんだ。どちらにも一長一短があるよ」

「なるほど……。うちは今のマンションのローンがまだ残っているんですけど、それも関係ありますか?」

「大アリだよ。ローンの残りが、売却でどれくらい返せそうかによって、選び方が変わってくるんだ。次で詳しく話そう」

2. うちの場合、どっちが向いてる?

「実は最初、夫と『先に戸建てを探そう』って話してたんです。理想の物件を逃したくないから」

コウカイ鳥

「その気持ち、よく分かるよ。以前取材した家族にも、同じように買い先行で進めようとしていた人がいたんだ。ただ、その方は不動産会社さんにこう言われたそうだよ」

「ローンの残りと、今の家の売却で見込める金額がほぼ同じくらいなら、二重ローンのリスクを考えて、先に売却の見込み額をはっきりさせたほうがいい」

「その家族は、最終的に『まず査定を受けて相場を知る』ところから動き始めたんだ。売る決心がついていなくても、査定だけなら気軽に頼めるからね」

「うちも、売れる金額が分からないと、次の家にいくらまで出せるか決められないよな……」

「そうなんだよ。『売り先行か買い先行か』を決める前に、多くの家庭が最初につまずくのが、この『そもそもいくらで売れるか分からない』という部分なんだ」

「じゃあ、まず動くべきは『査定』ってことなんですね」

「その通り。順番を決めるより先に、相場を知ること。これが住み替えの一番最初の一歩だよ」

3. 「どちらか一方」で悩まなくていい理由

「でも結局、うちは売り先行と買い先行、どっちで進めればいいんでしょう?」

「実は取材していて分かったのは、『きっちりどちらか一方に決め切る』家庭よりも、『査定で相場を先に押さえたうえで、売却と購入を同時並行で進める』家庭のほうが多いんだ」

具体的には、こんな進め方です。

  1. 複数の不動産会社に査定を依頼し、売却の相場感をつかむ
  2. 相場が分かった段階で、新居探しも並行してスタートする
  3. 引き渡しのタイミングをできるだけ近づけるよう、不動産会社に相談する
  4. タイミングがずれた場合に備えて、仮住まい(賃貸)も選択肢として資金計画に入れておく

「『売り先行』『買い先行』は、あくまで考え方を整理するためのラベル。実際は『査定→並行して動く→ズレたら仮住まいで調整する』という進め方に落ち着くケースが多いんだよ」

「思っていたより現実的な話ですね。『どちらかに決めなきゃ』って気負いすぎてたかもしれません」

「その気負い、みんな最初は持っているものだよ。でも実際は、資金状況を先に把握することのほうがずっと大事なんだ」

4. 資金面で怖い「二重ローン」って本当?

「正直、一番気になるのがそこなんです。売る前に次の家を買ったら、ローンが二重になりませんか?」

「鋭いところを突くね。それが『二重ローン(ダブルローン)』のリスクだよ。買い先行で進めると、今の家のローンが残ったまま、新居のローンも組むことになる。売却が長引くほど、二重の負担が続いてしまうんだ」

「ただ、この不安を和らげる仕組みもあるんだよ」

  • つなぎ融資:売却代金が入る前に新居の購入資金が必要な場合に、一時的に利用できる融資
  • 住み替えローン:今の家の売却額だけではローンを完済しきれない場合に、残った分と新居の購入資金をまとめて借りられる仕組み

「どちらも金融機関によって条件が違うから、『こういう選択肢がある』という前提で、早めに金融機関へ相談しておくと安心だよ」

「知っているかどうかで、動き出すタイミングも変わってきそうですね」

「その通り。もう一つ大事なのが、売却額がそのまま手元に残るわけじゃないということ。仲介手数料や登記費用、税金なんかが差し引かれるから、『売却額』ではなく『諸費用を引いた後の手残り』で資金計画を考えるのがコツだよ」

5. 査定って、どこに頼めばいいの?

「査定が最初の一歩というのは分かったんですけど、どこにお願いすればいいんでしょう?選択肢が多すぎて選べなくて……」

「そこ、多くの家庭が悩むポイントだね。実は査定サービスは、1社だけに絞るより、性格の違うサービスを2〜3個組み合わせて『相場の幅』を見るのがおすすめなんだ」

これまでの取材で見てきた、代表的なサービスの特徴はこんな感じです。

  • すまいValue:大手不動産会社が共同で運営しているサービス。ブランド力のある会社にまとめて相談したい人向き
  • イエウール:提携している不動産会社の数が多く、郊外や地方の物件でも査定先を見つけやすいのが特長
  • SUUMO売却査定:知名度が高く、一括査定を使うのが初めてという人でも申し込みやすい安心感がある

「大手ならではの安心感、対応エリアの広さ、初めてでも使いやすい知名度……サービスごとに強みが違うから、1社の査定額だけで一喜一憂しないのがポイントだよ。『幅』で見ると、相場感がぐっとつかみやすくなる」

「1社に絞らなくていいんですね、それなら気軽に始められそうです」

「うん。査定を申し込むと、その後不動産会社から連絡が来る仕組みだから、そこは事前に知っておくと安心だよ。売る決心がまだついていなくても、『まずは相場を知りたいだけ』という段階で使って大丈夫」

「あと、住宅ローンの選択肢を知っておきたい場合は、住宅ローン診断サービス(モゲチェックなど)で『どんな借り方の選択肢があるか』を確認しておく家庭も多いよ。具体的な金利や損得は金融機関ごとの個別相談が必要だけど、選択肢を先に知っておくだけでもスケジュールが立てやすくなるんだ」

※各サービスの提携内容・対応エリアは変わることがあるため、実際に申し込む際は公式ページで最新の情報を確認してください。

6. 子どもの学区や暮らしへの影響は?

「もう一つ気になっているのが、子どもたちのことなんです。長女は今の学校にお友達がいて、転校を嫌がるかもしれなくて……」

「それ、住み替えを考える家庭からすごくよく聞く悩みだよ。実際、学区を変えたくないという条件を優先した結果、探せるエリアがぐっと狭まったという家族もいた。それは『後悔』というより、『覚悟して選んだ結果』だったと話してくれたよ」

「大事なのは、『学区は変えない』『通勤時間はここまで』というように、家族にとって譲れない条件を先に洗い出しておくこと。そうすれば、物件探しの途中で家族の意見がバラバラになりにくいんだ」

「わたし、転校はちょっとやだけど……お庭でわんちゃん飼えるなら、がんばれるかも」

「ふふ、みんなが本音を話せる機会をつくっておくのも、住み替え成功のコツの一つだよ」

「にわで、はしりたい!」

「長男くんの願いも、立派な『住み替えの軸』の一つだね」

7. まとめ:焦らなくていい、でも「知る」のは早いほうがいい

「今日は色々教えてもらって、なんだか肩の力が抜けました。『売り先行か買い先行か』で悩んでいたけど、まずは査定から、なんですね」

「そういうこと。順番を先に決めようとするより、『今の家がいくらで売れそうか』『ローンの残り具合はどうか』を先に知ること。それが分かって初めて、うちにとって無理のない進め方が見えてくるんだ」

今日の話を振り返ると、ポイントはこの4つ

  • 「売り先行」「買い先行」は考え方の整理のためのラベル。実際は査定で相場を先に把握し、状況に応じて並行して進める家庭が多い
  • 二重ローンが不安な場合は、つなぎ融資・住み替えローンという選択肢があることを知っておく
  • 査定は1社に絞らず、性格の違うサービスを組み合わせて「幅」で相場を見る
  • 学区や暮らしの条件は、家族みんなの本音を聞いておくと後からのブレが少ない

「アヤさんの家族みたいに、迷いながらでも一歩ずつ進めていけば大丈夫。次は、実際の査定額の相場感や、築年数ごとの売却シミュレーションについても取材してくるから、また聞きに来てね」

「はい、また相談させてください!ありがとうございました」


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