今日は、実際にリノベーションを検討中のご家族からいただいた相談をもとに、「収納はいつから、どう考えればいいのか」についてお話しします。

相談してくれたのは、こんなご家族です。
- アヤさん(30代・ママ):家事育児をこなしながら、収納の使い勝手にずっとモヤモヤ
- 夫さん(40代・パパ):「収納さえ増やせば解決する」と思っていたタイプ
- お姉ちゃん(小学生):ランドセルの置き場所が定まらず、リビングが荷物だらけに
- 弟くん(年少):おもちゃを片づけても、すぐに元通り
このご家族との会話をもとに、収納の「よくある誤解」と「後悔しないための考え方」をQ&A形式でまとめました。

Contents
1. 収納が足りない=収納を増やせば解決?

正直、収納さえ増やせば片づく家になると思っていました。実際どうなんでしょう?
とても多い相談です。でも実は、「収納を増やす」=「片づく家になる」ではありません。

収納の広さだけを先に決めると、こんなことが起きがちです。
- 思ったより物が入らず、結局あふれる
- 逆にスペースが余り、無駄になる
- 使う場所と収納が離れていて、出しっぱなしになる
実は、間取りリノベーションの失敗でよくあるのは「収納の量不足」より「使う場所と収納が遠い」こと。
動線の途中に収納がないと、物は自然と出しっぱなしになってしまいます。
大事なのは「量」ではなく、「どこで、何を、どう使うか」から逆算した位置と量です。

2. リノベの計画と、収納の準備。どっちが先?

工事前にやることは他にもたくさんありますよね。収納はいつ考え始めればいいんでしょう?
ここ、多くの方が誤解しているポイントです。リノベの工程と、収納(持ち物整理)の工程は、別の時間軸で同時に進んでいくものなんです。

| フェーズ | リノベーションの工程 | 収納・持ち物整理の工程 |
|---|---|---|
| 検討し始め | 物件探し・要望整理 | 持ち物をざっくり把握 |
| 計画中 | 間取りの検討 | 残す・手放すを決める |
| 詳細設計 | 収納位置・仕様の決定 | どこに何を置くか考える |
| 工事直前 | 引っ越し準備 | 荷造り・仕分けの実行 |
| 工事後 | 引っ越し | 収納を整える |
| 入居後 | 新しい暮らしスタート | 暮らしに定着させる |
工事が始まってから収納を考え始めるのは、実は一歩遅いんです。
理想は、物件探しの段階から持ち物の棚卸しも並行してスタートすること。間取り決めがぐっとスムーズになります。
服の量、本や書類の量、キッチン用品の量……。持ち物の量は、そのままクローゼットの奥行きやパントリーのサイズなど、間取りそのものを左右する情報になります。

3. 子どもの持ち物、どう収納すればいい?

わたしのランドセル、いつもリビングに置きっぱなしって言われる……。

おもちゃ、また出しっぱなしって怒られた。
お子さんがいるご家庭ならではの、あるあるですね。ポイントはふたつあります。

① 個室ではなく「家族みんなの動線上」に収納をつくる
近年、家族の持ち物を一箇所にまとめる「ファミリークローゼット」が子育て世帯を中心に支持を集めています。子ども部屋にそれぞれ収納を分散させるより、リビングや玄関の近くなど家族が実際に動く場所に収納をまとめることで、「ランドセルの置き場所が定まらない」「おもちゃが各部屋に散らばる」が解決しやすくなります。
② 「今」だけでなく「成長後」も見据える
年少の弟くんと小学生のお姉ちゃんでは、持ち物の中身が全く違います。数年後には、また変わります。
可動棚や造作の工夫で、後から用途を変えられる余白を持たせておくと、成長にあわせて長く使えます。

なるほど、子ども部屋の中だけで完結させようとしていたのが、そもそもの思い込みだったんですね。
4. データで見る、後悔しがちな収納・動線のポイント
リノベーション経験者への調査では、後悔した点として「想定より費用がかかった」「複数の会社を比較すればよかった」という声とあわせて、「水まわりや収納にもっと投資すればよかった」という声が多く挙がっています。
デザイン性にこだわりすぎて実用面で後悔するケースがある一方、日々使う収納は後回しにされがちな割に、後悔につながりやすい項目です。
費用の相場感も、目安として押さえておきましょう。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| マンションリノベの㎡単価 | 概ね15万〜20万円/㎡程度 |
| 70㎡マンションの総額目安 | 概ね1,000万〜1,400万円程度 |
| リフォーム全体の平均支出 | 概ね400万円前後 |
※費用は物件の状態・工事範囲・時期で変動します。実際の見積もりで確認してください。
情報収集はインターネット検索が最も多く、次いで知人からの紹介という結果も。
集めた情報は、「自分たちの持ち物と暮らし方」というフィルターに通して考えることが大切です。
5. 整理のプロに頼るのも、あり?

正直、自分たちだけで整理しきれる自信がないんですが……。
もちろん、ありです。日本には持ち物や暮らしを整える専門家を育成する資格制度があり、「思考と空間を同時に整える」という考え方が広まってきています。

設計サイドは、間取り・動線・空間のバランスを見ます。
整理のプロは、持ち物の量や家族それぞれの物との向き合い方を丁寧に見てくれます。どちらが正解というより、見ている角度が違うんです。
一人(一家族)で抱え込まず、必要なら専門家を頼るのも、後悔しないリノベーションの選択肢のひとつです。

6. リノベ前にやっておきたい3ステップ
- 持ち物を把握する
クローゼットの中身、キッチン用品、子どもの学用品・おもちゃなど、ジャンルごとにざっくり量を可視化する - 残す・減らすを、これからの暮らしから考える
「今持っているから」ではなく「これから本当に必要か」で仕分ける。子どもの成長も見据える - 動線をイメージしながら「置き場所」を考える
間取り図の上で「どこで、誰が、何を使うか」をシミュレーション。ここで初めて収納の広さ・位置を設計に落とし込む
この順番を守るだけで、「思っていたより収納が使いにくい」という後悔はかなり防げます。
7. 目指すのは「戻りやすい暮らし」
収納というと「常に完璧に片づいた家」をイメージしがちですが、子育て世帯の暮らしはそんなに単純ではありません。
大事なのは、7割くらい自然に整っていて、少し手を動かせばまた元に戻せる「戻りやすい暮らし」をつくることです。

完璧を目指さなくていいと思うと、少し肩の力が抜けました。
完璧な収納計画より、多少崩れても立て直しやすい仕組みを間取りに組み込んでおく。そのほうが、家族構成やライフステージが変わっても長く心地よく暮らせます。

8. まとめ
- 収納は「量」より「使う場所との距離」が大事
- リノベの工程と収納の整理は同時進行。物件探しの段階から並行してスタートするのが理想
- 子どもの持ち物は、個室完結ではなく家族の動線上にまとめる発想が有効
- 収納・水まわりへの投資不足は、後悔につながりやすいポイント
- 迷ったら、整理のプロを頼るのも選択肢のひとつ
- 目指すゴールは完璧な収納ではなく「戻りやすい暮らし」
リノベーションを考え始めたら、間取りやデザインだけでなく、ぜひ家族みんなで「持ち物の棚卸し」も同時にスタートしてみてください。それが、後悔しない住まいづくりへの一番の近道です。